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ステパノとの逢瀬。
2008 10 29
外国のホテルや教会で聖書をパラパラっとめくったことはあるけれど、
日本語で書かれている聖書は読んだことがない。
なので、ステパノについては何も知らない。
今回この1枚の絵画と出会ったことではじめて知ったその存在。
キリスト教会史上初の殉教者でありながら、若くして命を落としている。
絵画のタイトルは「聖ステパノ」。
この日のbunkamuraミュージアムは平日にもかかわらず入場制限されていた。
約10分ほど待たされたであろうか、ようやく入場して中に入ると「オフィーリア」の前まで行列ができ大混雑だ。
もうすぐランチの時間だから混んでいるのであろう。
このおばさま方がお腹を空かしていなくなるのを待つしかない。
サッと列を離れ先へ進むと、徐々に人々のかたまりが小さくなっていた。
いくつか気にとまった作品を愛でながら順路を進んで行くと、ずいぶんと大きなサイズの作品群が現れた。こういう作品も描いていたのか…。少々驚き、ひと休みしようと人の流れから外れるように振り向くと突然、目の中に飛び込んできた1点、それが「聖ステパノ」だった。

ざわついていた館内の音が一瞬止まった。
静かだ。絵に惹き付けられるように近づくと身体が震えてくる。
涙があふれそう…。
そして、しばらくするとなんとなく心が満たされてくる。解放されてくる。
ステパノの死のくだりを描いた作品である。
ステパノは若く能力が十二分すぎたため、教会の祭司や長老たちから嫉妬やねたみの対象とされていたようだ。議会で吊るし上げられたのち、信者たちに石を投げられ命を奪われる。
その最期が描かれており、闇の中にはステパノの亡骸を埋葬しようと迎えにきた信徒たちが控えている。これがまったく心霊写真のようで恐ろしい。最初はぼうーとしてよくわからなかったのだが、信徒二人の姿が確認できたときは少しゾッとしたものの、とても安心した。何故か安心した。
光輪が聖人となった証しとして美しく輝いている。
幸せそうに横たわるステパノの亡骸。
あんなに混んでいたのに、
たどり着いた「聖ステパノ」の前には誰もいないのが不思議だった。
私一人だ。
一人占めだった。
ミレイが死を意識しはじめた頃に描いている…いくつかのメッセージが自然と伝わってくる。
どれくらいの時間であったであろう。
ステパノと向き合うことができたのは。
しばらくすると、一人、二人…と人が増えてきた。
「ああ、かようにも甘く、長く楽しい夢は、無惨に破られるべきもの…」。
ふいにさっき見てきたばかりの一人の婦人を描いた作品のタイトルが思い浮かんだ。
あれだけ混んでいた館内でステパノを一人占めとは、まさに甘く長く楽しい夢。
ほんのわずかでも充実したひとときであった。
「聖ステパノ」はこちらに所蔵されている。

http://www.tate.org.uk/britain/exhibitions/millais/rooms/room4.shtm
たいへん長いタイトルの婦人のことは、またいつか…。
日本語で書かれている聖書は読んだことがない。
なので、ステパノについては何も知らない。
今回この1枚の絵画と出会ったことではじめて知ったその存在。
キリスト教会史上初の殉教者でありながら、若くして命を落としている。
絵画のタイトルは「聖ステパノ」。
この日のbunkamuraミュージアムは平日にもかかわらず入場制限されていた。
約10分ほど待たされたであろうか、ようやく入場して中に入ると「オフィーリア」の前まで行列ができ大混雑だ。
もうすぐランチの時間だから混んでいるのであろう。
このおばさま方がお腹を空かしていなくなるのを待つしかない。
サッと列を離れ先へ進むと、徐々に人々のかたまりが小さくなっていた。
いくつか気にとまった作品を愛でながら順路を進んで行くと、ずいぶんと大きなサイズの作品群が現れた。こういう作品も描いていたのか…。少々驚き、ひと休みしようと人の流れから外れるように振り向くと突然、目の中に飛び込んできた1点、それが「聖ステパノ」だった。

ざわついていた館内の音が一瞬止まった。
静かだ。絵に惹き付けられるように近づくと身体が震えてくる。
涙があふれそう…。
そして、しばらくするとなんとなく心が満たされてくる。解放されてくる。
ステパノの死のくだりを描いた作品である。
ステパノは若く能力が十二分すぎたため、教会の祭司や長老たちから嫉妬やねたみの対象とされていたようだ。議会で吊るし上げられたのち、信者たちに石を投げられ命を奪われる。
その最期が描かれており、闇の中にはステパノの亡骸を埋葬しようと迎えにきた信徒たちが控えている。これがまったく心霊写真のようで恐ろしい。最初はぼうーとしてよくわからなかったのだが、信徒二人の姿が確認できたときは少しゾッとしたものの、とても安心した。何故か安心した。
光輪が聖人となった証しとして美しく輝いている。
幸せそうに横たわるステパノの亡骸。
あんなに混んでいたのに、
たどり着いた「聖ステパノ」の前には誰もいないのが不思議だった。
私一人だ。
一人占めだった。
ミレイが死を意識しはじめた頃に描いている…いくつかのメッセージが自然と伝わってくる。
どれくらいの時間であったであろう。
ステパノと向き合うことができたのは。
しばらくすると、一人、二人…と人が増えてきた。
「ああ、かようにも甘く、長く楽しい夢は、無惨に破られるべきもの…」。
ふいにさっき見てきたばかりの一人の婦人を描いた作品のタイトルが思い浮かんだ。
あれだけ混んでいた館内でステパノを一人占めとは、まさに甘く長く楽しい夢。
ほんのわずかでも充実したひとときであった。
「聖ステパノ」はこちらに所蔵されている。

http://www.tate.org.uk/britain/exhibitions/millais/rooms/room4.shtm
たいへん長いタイトルの婦人のことは、またいつか…。
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